2018年06月21日

相続対策に「生前贈与」、 そのメリット・デメリット

◆ 生前贈与で相続税対策を考えている人は必見!
平成27年からの相続税増税の影響から、相続税対策をする人が急増しています。
中でも現金贈与は比較的手続きが簡単で、私自身もお勧めしています。

ですが、この生前贈与には幾つかの方法が有り、財産所有者の年齢や家族構成、
全体的な財産額や財産構成によって、其々のメリットとデメリットが有ります。
これから生前贈与を考えている人は、自分に合った方法は何かを事前に確認して
おきましょう。

◆ 生前贈与なのか名義貸しなのか?
メリット・デメリットの話の前に、先ずはどの生前贈与にも共通して
注意すべき点が有ります。

生前贈与が問題になるのは、贈与した人に相続が発生した後、
税務署が行う相続税の税務調査の時です。
過去に遡り、贈与されたものが本当に贈与なのか、只の名義貸しだったかを
問われます。
税務署としては、名義貸しであればより多くの相続税を払って貰えるので、
贈与を認めたくありません。

◆ 税務署に生前贈与を認めさせるには?
生前贈与を税務署に認めさせるには、幾つかの条件が有ります。
この条件がより多く整う程、生前贈与を否認されるリスクが少なくなります。

 * 貰った人が、「貰ったと認識している事」。
   (贈与者が贈与したつもりになっているだけでは否認され易い)

 * 書類(贈与契約書等)で「贈与した事を証明できる事」。
   (尚、複数年契約は初年にまとめて課税されるため逆効果)

 * 貰った人が贈与税の申告をして自分で贈与税を払っている事。
   (110万円の現金贈与は名義貸しだと最も疑われ易い)

 * 貰った人が、自分で通帳やハンコを所持している事。

 * 貰った人が、貰ったもの(お金等)を使っている事。

◆ 最もお勧めしたいのが暦年贈与
一番簡単な手続きで行えるのが現金の暦年贈与です。
配偶者・子・子の配偶者・孫と、貰う人数が多い程、効果が有ります。

但し、相続人や遺贈を受けた人への相続発生前3年以内の贈与は、相続税の計算に
持ち戻され、これが唯一のデメリットと考えられます。
言い換えれば、例えば、10年間贈与した所で相続が発生した(遺贈は無い)場合、
配偶者と子の3年分の贈与は相続税に持ち戻されますが、
7年分は相続税が掛かりません。
又、子の配偶者や孫への贈与は10年分、全て相続税は掛かりません。

◆ 相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは、貰った時は贈与税を少なく(2,500万円までは贈与税は
0円)できる反面、相続発生時は相続税が掛かる制度です。

将来、相続税が掛からない財産額の人や、収益物件・値上がりが見込まれるものは、
この制度を利用して贈与すると効果が有ります。

但し、一度この制度を利用すると、以後、その贈与者からの暦年贈与は
一切受けられません。
又、利用を止める事はできません。
将来、相続税が掛かる人だと相続税対策には殆んどならないのもデメリットです。

◆ 教育資金の一括贈与
教育資金に充てるための1,500万円までを事前に贈与でき、
贈与税が掛からない制度です。

メリットは将来の相続税の持ち戻しが無い事。
一括で高額の現金贈与ができ、相続税の対策になります。

デメリットは、貰った人が30歳になるまでの長期間、領収書の管理等の手間が
発生する事です。
又、実際に使い切れなければ贈与税が掛かる、贈与者は1回しか「ありがとう」を
言って貰え無い、と言った面も有ります。

そもそも、必要な都度の教育資金や生活費の贈与には贈与税は掛かりません。
その都度贈与の方が、感謝の気持ちや、「ありがとう」、もその都度になります。

◆ 結婚・子育て資金の一括贈与
結婚・子育てに充てるための1,000万円までを事前に贈与でき、
贈与税が掛からない制度です。
注意点は、贈与者が死亡した時点で残額があれば相続税への持ち戻しになる事です。

◆ 住宅取得等資金の贈与
住宅取得等資金に充てるための一定金額の贈与には、贈与税が掛からない制度です。

メリットは将来の相続税の持ち戻しが無い事。
一括で高額の現金贈与ができ、相続税の対策になります。

実際、贈与者は60歳代で、貰う人は30歳代と言うケースが多く、長い目で見れば、
相続税対策となりますが、駆け込みで相続税対策をする年齢層には合わない事が
多いです。
尚、貰った人は、翌年の3月15日までにその居住用不動産の引き渡しに
間に合わないといけないため、年後半の贈与は避けた方が良いです。

◆ 贈与税の配偶者控除
婚姻20年以上の配偶者に居住用不動産、又は、居住用不動産を取得するための金銭を
贈与する場合、2,000万円までの贈与が控除できると言う特例です。

メリットは将来の相続税の持ち戻しが無い事です。
不動産そのものを贈与する事も可能なため、財産構成の内、現金が少ない人でも
相続税対策ができます。

勿論、デメリットも有ります。
一般的な相続税対策としては、子や孫等、より下の世代にしたい所でしょう。
しかし、この特例は同じ世代の配偶者への贈与となるため、二次相続が近くなる
可能性も。
二次相続財産が確定してしまうと言う面も有ります。

そもそも土地だと、「小規模宅地等の特例」で2割にできるため効果が少ない、
不動産の贈与には高額の費用(登録免許税・不動産取得税・司法書士費用等)が
掛かる、と言った点も見逃せません。

◆ 生前贈与の実行前には、メリットとデメリットを十分検討して
 * 将来に相続税が掛かりそうか、
 * 生前贈与による相続税対策が必要か、
 * 贈与し過ぎて自分の生活費は大丈夫か、
 * 誰かに偏った贈与は、将来の遺産分割で揉める原因にならないか、
これ等の事をじっくり考えてから、生前贈与を実行するか否かを決める必要が
有ります。
折角の対策が無駄になってしまわない様にしたいものです。

             ≪ MSN ALL ABOUT 6月16日 ≫




posted by 弘不動産コンサルティング事務所代表 at 00:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月20日

東京の不動産価格が下落する兆し?世界の大都市で住宅価格が低下

先進国を中心に金利の低い環境が長く続き、ここ数年、世界中の多くの都市で
住宅価格が大幅に値上がりしてきた。
全体としては未だ不動産市場は堅調と言えるが、一部のハイエンドな地域では
変調の兆しが有る。
これは大きな変動に繋がるシグナルなのだろうか?

◆ ロンドンで住宅価格の下落止まらず
ロンドンでは住宅価格の下落が続いている。
英国住宅金融大手のハリファックスによると、2018年1-3月期には、
前年同期比で3.8%下落し、2010年初め以来の大きな下げ幅となった。
2017年10‐12月期も0.7%の低下となっており、前年比での下げは3期連続だ。
同社の月次の数字はぶれ易いとされるが、4月も下げ基調が続いた様だ。

その他の調査でも、同様の傾向が示されている。
不動産会社ライトムーブ社の調査では、5月にはロンドンの住宅価格が、
前年比で0.2%下落した。
又、アカデータ社の発表でも、4月にはロンドン地区だけが英国内で住宅価格が
下落し、その下げ幅は2.5%だったと言う。
同社によると、英国全体では、2016年に一時見られた+9%よりは緩やかに
なったものの、1%の価格上昇だった。

ロンドンで住宅価格が低下している最大の理由は、BREXITに備えたビジネス界の
動きだ。
特に、金融センターだったシティに欧州の主要拠点を置いていた多くの銀行が、
EU域内の他国へと移転する計画を進めている。
銀行はEUの何れかの加盟国で免許を取得すればEU全域での営業が可能だが、
英国がEUを離脱すれば、同国での免許は域内で使えない可能性が有るためだ。
シティで金融業界に勤める人は一般的に年収が高いため、そうした人等の国外流出は
特にロンドンの高級物件に影響を与えていると見られる。

◆ マンハッタンでも住宅価格の下げが急速
ダグラス・エリマン社とミラー・サミュエル社によると、2018年第1四半期の
マンハッタンでの住宅取引額は前年同期比で25%も減少したと言う。
これは、2009年第2四半期以来の減少幅だ。
又、売買価格も同時に低下しており、中間価格は108万ドルで前年比‐2%となり、
更に平均価格では193万ドルで同‐8.1%となった。

買い手優位の流れは4月以降も続いている様で、別の不動産会社のレポートによれば、
高級マンションの売り手は当初の提示価格よりも平均で5〜16%値下げして契約して
いる様だ。

マンハッタンでの価格下落の要因の一つとして、昨年末に決まった大型減税の一環で、
住宅ローン利子控除におけるローン総額の上限が引き下げられた事が有るとされる。
又、利上げによって、住宅ローン金利が上昇している事も影響していると見られる。

米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が発表する30年物住宅ローン固定金利
は、5月23日時点で4.66%となり、2011年5月以来の高い水準となった。
とは言え、国全体で見れば住宅価格は、未だ上昇しているのは英国と同様だ。

米連邦住宅局(FHA)によると、1‐3月期には50州全てと首都ワシントンで、
住宅価格が前年同期比で上昇した。
更に、不動産情報サイト、ジローによると、4月も上昇は続き、中間価格は、
前年同期比8.7%増の21万5600ドルだったと言う。
これは2006年6月以来の大きな伸び率だ。

◆ シドニーやメルボルンでの価格下落が顕著
オーストラリアでは住宅価格の下落基調が続いており、米不動産調査大手、
コアロジック社が発表した4月の豪住宅価格指数は、前月比で0.1%低下した。
低下は2017年10月以来7か月連続だ。
しかし、ここでも下げをけん引しているのは都市部で、地方だけを見ると、
未だ上昇傾向が続いている。
都市部の下げは特にシドニーやメルボルン等で顕著に見られ、
4月は、共に前月比0.4%の低下となった。

シドニー等での価格下落の背景には、政府による規制の強化が有る。
中国等からの海外資金や投機資金の流入により、シドニーの住宅価格は、
5年前に比べて7割程も上昇したとされる。
一般の家計には手の届かない水準となり、ついに、政府は昨年、
銀行に対してローン審査の厳格化を要請した。

その他、空き室のままになっている住宅の外国人オーナーに課税したり、
外国人へのキャピタルゲイン課税を強化したりする等の対策を進めた結果、
外国人の買いが急激に減少したとされる。

◆ 世界的に住宅価格の下げは連鎖するのか?
英国、米国、オーストラリア等の都市部で高級物件の価格が下がっている背景は、
其々異なる。
只、共通点も有って、それは金利が上昇傾向に有ると言う事だ。
英米は既に利上げを進めており、2016年8月以来金利を据え置いている
オーストラリアでも、次の利上げを視野に既に銀行間の調達金利は上昇を
始めている。

こうした動きに関連して、国際通貨基金(IMF)が、4月に非常に興味深い分析を
発表している。
主要40か国と主要44都市を通じ、住宅価格がシンクロして動く傾向が強まっている
と言うのだ。

その背景として、世界的な低金利の中、グローバルに動く投資家の資金が世界各地の
不動産市場にも流入している事を指摘している。
特に利回りや安全性が魅力的な都市部において、そうした傾向が強いと言う。

IMFの分析が正しいとすれば、今後「世界的な低金利」と言う環境が変わって行けば、
これまで多くの国で住宅価格が上昇してきたのとは逆に、世界的にシンクロして、
価格は下落するリスクが有ると言う事だ。
香港や東京等では、未だ価格下落は見られていない様だが、
注意しておくべきなのかも知れない。

              ≪ MSN ZUU ONLINE 6月16日 ≫




posted by 弘不動産コンサルティング事務所代表 at 00:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする