2017年06月27日

夫婦で住宅ローン減税を受ける場合の注意点

 収入合算では、妻は住宅ローン減税を受けられない
夫婦で住宅ローン減税を受けられるのは、どの様な場合か、先ずは確認します。
住宅ローンの借り方によっては、妻が住宅ローン減税を受ける事ができない場合
が有るので要注意です。
夫婦で住宅ローンを借りる時は、次の3つのパターンが有ります。

1.夫婦連帯債務による住宅ローン
夫と妻共に債務者になり、連名で住宅ローンの契約をする事になります。
連帯債務で住宅ローンを3,500万円借りた場合、例えば夫が2,500万円、
妻が1,000万円と言う訳でなく、夫も妻も住宅ローンの契約上は3,500万円
返済する責任が有ります。

住宅ローン減税に付いては、条件を満たせば夫も妻も受ける事ができます。
しかし、夫も妻も住宅ローンの契約上、其々3,5000万円借りている責任は有る
ものの、住宅ローン減税の要件では、夫、妻の其々の住宅ローンの借入金を、
3,500万円として住宅ローン減税を受ける事はできません。

2.夫婦、其々が単独債務による住宅ローン
金融機関によっては、夫婦連帯債務を認めていない所もあります。
その場合は、次の例の様に、夫婦其々が単独債務で住宅ローンを
借りる事になります。
夫も妻も債務者になりますが、其々別個に住宅ローンの契約をする事になります。

例えば、住宅ローンで3,500万円必要な場合、夫名義で2,500万円、
妻名義で1,000万円、と言う様に、其々借りる金額が変わります。
その結果、住宅ローンの契約書も2部に分かれる事になります。
即ち、実質2つの住宅ローンを借りる事になります。
尚、夫は妻の、妻は夫の連帯保証人になります。

この場合、条件を満たせば、夫、妻共、住宅ローン減税を受ける事が出来ます。

3.妻の収入を夫の収入に合算した収入合算による住宅ローン
債務者は夫のみですが、妻の収入の一部を夫の収入に合算して、借入金を
増やして住宅ローンを借りるケースです。

この時、妻は住宅ローンの契約上、債務者ではなく連帯保証人です。
よって、住宅ローン減税は、住宅ローンの借入者でないと受ける事ができない
ので、妻に収入が有って所得税を納税していても、残念ながら住宅ローン控除を
受ける事ができません。

◆ 夫婦連帯債務の時の住宅ローン減税の注意点
上記で説明した通り、連帯債務による借入金額の全額が、夫、妻、其々の
住宅ローン減税の対象にはなりません。
具体的に言うと、連帯債務による住宅ローンによる金額が3,500万円の時、
夫、妻、共に3,500万円を住宅ローン控除の対象にする事はできないと言う
事です。

それでは、夫、妻は、住宅ローン減税の対象となる住宅ローンの借入額の
其々幾らにすれば良いのでしょうか。

◆ 確定申告の時には、既に住宅ローン減税の割合は決まっている。
実は、住宅ローン減税の対象となる金額の割合は、住宅を取得した時に登記した
所有権の持ち分割合により、自動的に決まっているのです。

物件価格を、4,000万円とします。
又、頭金は、500万円(夫300万円、妻200万円)、
住宅ローンの借入金額を、3,500万円とします。

仮に、所有権を、夫が1/2、妻が1/2、と登記したとすると、
夫の持ち分は2,000万円、妻の持ち分は2,000万円となり、住宅ローンが
夫婦での連帯債務の場合、夫は300万円の頭金を出しているので、
住宅ローンの割合は1,700万円となります。
妻は、200万円の頭金を出しているので、住宅ローン割合は、1,800万円
となります。

よって、夫の住宅ローン減税の対象金額は1,700万円、
妻の住宅ローン減税の対象金額は1,800万円となり、
住宅ローンの夫の負担割り合いは、1,700万円/3,500万円=48.57%、
妻の負担割合は、1,800万円/3,500万円=51,43%、となります。

具体的には、連帯債務の住宅ローンの12月31日時点の残高が、
34,784,320円だとすると、次の様な計算になります。

夫の住宅ローン減税の対象額:34,784,320円×48.57%=16,894,744
妻の住宅ローン減税の対象額:34,784,320円×51.43%=17,899,576円

尚、連帯債務でも、住宅ローンの借入金額分を全て夫の持ち分にすれば、妻の
住宅ローンの借入金額はゼロなので、妻は一切住宅ローン減税を受ける事は
できません。
その代わり、夫が全て住宅ローン減税を受けると言う選択が可能です。

確定申告の直前に、夫婦の連帯債務なので住宅ローンの割合をどの様にすれば
良いか、と言う相談を受けますが、しかし、以上の様に、所有権を登記する時に、
結果として住宅ローン減税の割合が決まっているので、確定申告の時には、
『 時既に遅し 』、だと言う事を忘れないで下さい。

よって、住宅ローンのための確定申告をする人は、先ずは、土地と建物の登記簿
謄本で持分割合を確認しましょう。

又、連帯債務で住宅ローン減税を受ける予定の人は、所有権の登記の時に、
持分割合を良く検討して登記して下さい。

◆ 購入資金の負担金(出資金)割合 = 所有権割合、でないと贈与税が発生
夫婦で住宅ローン減税を受けると得するかどうかは、長期的な視点で良く検討
しましょう。
これまで説明した様に、登記する時の原則は、
負担金(出資金)割合 = 所有権割合です。
負担金(出資金)割合とは、物件価格 + 諸費用に対して、
誰が幾ら資金を出したか、と言う事です。
登記する時には、必ず良く確認をして登記を行いましょう。

負担金(出資金)割合 = 所有権割合、でないと贈与税が発生する事になります。

物件価格が3,500万円、夫名義の頭金が500万円・住宅ローンが2,000万円、
一方、妻名義の頭金が500万円・住宅ローンが500万円の時の、
所有権割合は、夫が5/7、妻は2/7、となります。

もし、夫婦平等でと言う事で、出資金割合を無視して、夫が1/2、妻が1/2の
割合で所有権を登記してしまうと、
3,500万円 ×(1/2 − 2/7)= 750万円 を夫から妻に贈与したと見做され、
妻が贈与税を払う必要が出てくると言う訳です。

又、物件価格が4,000万円で、頭金が夫名義で800万円、残り3,200万円を
連帯債務の住宅ローンとします。
夫と妻の年収を考えて、3,200万円の連帯債務の割合を、夫2,200万円、
妻1,000万円とすると、所有権の持ち分割合は、
 夫:(800+2,200)/4,000 = 3/4、
 妻;(1,000)/4,000 = 1/4、
となります。

この様に、連帯債務の場合、登記をする時点で、
住宅ローンの割合を決める必要が有る事があ分かります。

◆ 妻が住宅ローンを受けた方が得かどうか?
妻に収入が有るので、住宅ローン減税を受けないと損をするのではないか、
と言う人も多いかもしれません。
確かに仕事を続けられれば、夫婦で住宅ローン減税を受けられるメリットが
有ります。

しかし一方で、育児等で妻が仕事を辞めてしまって、妻の分の返済を夫が
続けている人も、現実に多く見受けられます。

もし、夫が妻の返済分を負担している場合は、贈与税の対象となる可能性も有り、
同時に、夫が妻の返済を行っていたとしても、住宅ローン減税は、当初決めた
夫が返済する割合しか対象となりません。

この様な実情を踏まえて、妻が仕事を続けられる可能性を良く検討した上で、
妻も住宅ローン減税を受けられるか、どうかに付いて、住宅ローンを借りる時、
又は、所有権を登記する時に、良く検討して置く事が重要と言えます。

                  ≪ MSNマネー  6月24日より ≫



posted by 弘不動産コンサルティング事務所代表 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月26日

「終の棲家」どう選ぶ? 種類多く複雑な高齢者施設


終活のテーマのひとつに老後の住まいが有る。
「最後まで自宅に住み続けたい」 と思う人もいれば、より安心できる環境や施設
への住み替えを検討する人もいる。
いわゆる 「終の棲家(ついのすみか)」 だ。
高齢者向けの住宅や老人ホームが思い浮かぶが、種類が多く、何がどう違うのか,
分かり難い。
入りたい施設が有っても、希望通り入れるとは限らないのが現状だ。
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を主体に、
其々の施設の特徴等に付いて調べてみた。

◆ 有料老人ホームは主に2タイプ
有料老人ホームは高齢者を入居させ、
 (1) 食事の提供、
 (2) 介護(入浴・排せつ・食事)の提供、
 (3) 洗濯・掃除等の家事の供与、
 (4) 健康管理、
・・・の内の何れかのサービス(複数も可) を提供する。
古くから有り、最も馴染みが有る施設かも知れない。
有料老人ホームには主に 「住宅型」 と 「介護付き」 が有り、
其々特徴や入居時の条件が異なる。

◆ 増加する 「サ高住」、 「老人ホーム」 との違いは?
有料老人ホームと並び、高齢者向けの住宅として近年注目を集めているのが、
サービス付き高齢者向け住宅だ。
「サ高住」 や 「サ付き」 と言った略称で呼ばれる。
自立して暮らせる人から、要介護の人まで、様々な高齢者が安心して入居できる
住まい作りを目的に、2011年10月に設置がスタートした。
国が建築・改修費の補助や税制優遇等の支援策を打ち出した事も有り、
登録する施設が全国で相次ぎ、戸数は2017年4月末時点で、
21万7,000戸を超えた。
老後の住まいの選択肢として存在感を高めている。

サ高住はハード・ソフト両面で国が登録基準を設けた。
入居者は60歳以上、又は、要介護・要支援認定を受けている60歳未満の
何れかに該当する事が条件で、単身でも、配偶者と一緒でも、入居できる。
バリアフリー構造も必須とした。
必ず提供しなければいけないサービスは、「安否確認」 と 「生活相談」 のみ。
その他のサービスは任意だが、実際には食事サービスを提供したり、
介護や生活支援サービスを提供する体制が有ったりする所が多い。
これが入居後の費用の差になって表れる。
だが、こうしたサービスの充実は、逆に有料老人ホームとの違いを
分かり難くしている。

◆ 特養ホームは、原則要介護3以上に
ここで改めて高齢者向けの住宅・施設を俯瞰(ふかん)して見たい。
定員・利用者数の推移を見ると、下記のグラフの様になる。
種類が沢山有り、非常に複雑で分かり難い。
因みに、最も定員・利用者数が多いのは、特別養護老人ホーム
(介護老人福祉施設)
常に介護が必要で、自宅での生活が難しい要介護者が入居する。
2015年4月から入居は、原則要介護3以上に限定された。


介護老人保健施設(老健)は、病状は安定期にあるが、退院して直ぐに自宅に
戻るのが不安な人が、在宅復帰を目指して介護、機能訓練などを受ける施設。
そして、介護療養病床(介護療養型医療施設)は急性期の治療が終わった後、
比較的長期の療養を必要とする要介護者が入る施設だ。
国が廃止を打ち出したため、病床数は年々減っている。
この3つを 「介護保険施設」 と呼ぶ。
認知症高齢者グループホームは、認知症の高齢者が少人数(5〜9人)で
介護サービスを受けながら共同生活をする。
これ等の施設は、入居の条件が要介護認定者等、決まっているため、
自立の人は入る事ができない。

◆ 介護サービス、施設の内部か、外部か、
有料老人ホームは最近では高額な入居一時金が必要無く、月々の支払いのみで
生活できるものも増えている。
介護付き、と住宅型の違いは、介護サービスを、施設が提供するのか、
外部の業者を利用するのかと言う点。
介護保険の範囲内で施設が必要なサービスを24時間体制で提供してくれるのが、
介護付き。
職員による介護サービスを毎月一定額の介護費用で利用できる。
一方の住宅型は、外部の介護保険事業所から介護保険の居宅サービスを受ける。
入居者の状態に合わせて必要なサービスを組み立てる 「カフェテリア型」 で、
利用した分だけ介護費用を支払う。
サ高住も住宅型と同じ仕組み。
入居後に状態が悪化してより多くの介護サービスが必要となっても、
介護付き、は必要な費用が見通し易い。
半面、住宅型やサ高住には天井が無く、サービスを使えば使う程、費用が掛かる。


サ高住は利用権方式が多い有料老人ホームと異なり、 入居一時金が無く、
月払いの費用だけで済む賃貸方式の施設が主流。
敷金の他、家賃、共益費、生活支援サービス費等に費用を限定、
書面での契約を必須としている。
当初の資金負担が小さい上、途中退去する事になっても、
返還金のトラブルが生じる可能性は小さい。

比較的自立度が高い人の入居を想定していたサ高住だが、
実際に入居している人の年齢はかなり高い。
高齢者住宅財団の調査(2013年)では、
物件毎の平均年齢は84歳代が最も多く、
住宅型有料老人ホームの85歳代と変わらない。
自立者にも門戸を開いているとは言え、かなり高齢の要介護者等が
多数を占めるケースが多くなっている。


◆ 合う合わないは、肌感覚も重要
介護が必要になった時、24時間体制で見てくれる施設であれば、介護付き、
サービスを自分で決めて元気な内はそんなにお金が掛らない方が良ければ、
住宅型やサ高住、が対象になる。
パンフレットや重要事項説明書といった資料を事前に取り寄せ、
良く研究してから施設を見学に行くのも重要だ。
自分に 『合う』、『合わない』 の肌感覚が大事。
昼食時に足を運べば、どんな人が入居しているのか,把握する事もできる。
家族や友人等、複数で行き、持ち帰ってじっくり話し合いたい。
不明点は専門家に聞くのも良いだろう。

◆ ワンポイント: 駅近くのマンションに住み替えも
一頃は、シニアの住み替えと言えば、一戸建ての自宅を売却して、
早めに高齢者向けの施設や住宅に入るパターンが多かった。
だが最近では、郊外の一戸建てを売って、駅前のマンション等に
住み替える人が増えている。
子供が独立して家族構成が変化した事や、仕事をリタイアして、
ライフスタイルが変わった事等が切っ掛けだ。

不動産仲介大手の野村不動産アーバンネット(東京都新宿区)では、
「マンションや戸建ての購入は30〜40代が主体である事は変わらないが、
 一方で60代以降の定年後の人たちの購入も多い」、としている。


野村不動産アーバンネットがまとめた、年代別東京都内マンション購入の
成約件数によれば、2010年度に全体の11.5%だった60代以上の比率は
その後増加を続けた。
2016年度は前年度より減ったものの、17.4%を占めた。
購入の理由に付いては、 「息子や娘の近くに引っ越す」 や ,
「病院やスーパー等が近い便利な場所に移る」、と言った、
「高齢化への備え」、 が27.4%となり、
「家が狭い・古い」、等の 「家への不満」(23.6%)、を上回って、
最も多くなっている。
住み替えた先を、「終の棲家」 に位置づけているか、どうかは不明だが、
可能な限り自宅に住み続けたい、と言う思いが、
より便利でコンパクトなマンションのニーズにも表れている様だ。

                ≪ 日経電子版 マネー研究所 6月23日より ≫





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posted by 弘不動産コンサルティング事務所代表 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする