2017年03月29日

介護業界で破綻が急増


2016年は老人福祉・介護事業の倒産が急増。
調査開始以来、過去最多を更新し話題になっている。
その原因はともかく、利用者からすれば、突然の事業閉鎖はたまったものでは無い。
特に、「終いの澄香」として入居した老人ホームが閉鎖する場合には、
必然的に多大な混乱が生じる事となる。

そこで、今回は、実際に老人ホームが倒産する際に生じる問題と、
安全な老人ホームの抜分け方を考えてみたい。


◆ 有料老人ホームが倒産すると追い出される?
有料老人ホームの経営が行き詰った場合、直に利用者が追い出されるかと言うと、
必ずしもそうでは無い。
これまでの事例では、他の事業者が事業譲渡を受け、サービス自体は、
事業母体が変更されても、継続される事が多かった。

もっとも、ここ最近は、老人福祉・介護事業に対する事業者の参入意欲が
弱まっている。
事業の譲渡先が見つからず、破産手続きが選択された場合には、
真にサービス停止となる。
利用者は、食事や介護と言った日常のサービスを受けられなくなると共に、
施設の利用権も消滅する。
実際、事業者が一方的に施設の閉鎖を利用者に通知し、利用者が途方に暮れる
ケースも有る様だ。

勿論、事業者や担当ケアマネージャーが(場合によっては行政も)、
転居先となる施設を探してはくれます。
それでも、希望の条件に近い施設への転居が可能かどうかは分らないし、
新しい施設に入居する際に、一時金等の用意が必要になる可能性も有る。
利用者は非常に困った状況に置かれてしまうのだ。

◆ 既に支払った入居一時金の返還はどうなる?
老人ホームが倒産し、別の老人ホームに転居する場合、問題となるのが、
入居時に支払う「入居一時金」の返還だ。
入居一時金は施設によって異なるが、100万円を超える事も珍しくない。
家賃・利用料の先払い分であり、中途で退去する場合には、未消化分の
一時金は返還されるべきものだ。

経営難で事業から撤退する以上、事業者による自主的な返還は、
到底期待できない。
社会福祉法は、2006年(平成18年)の改正により、
最大500万円までの入居一時金について、銀行による連帯保証等の
保全措置を、事業者に義務付けている。

この保全措置により、500万円までの入居一時金の返還は、事実上、
保証される事は安心材料になる。
但し、保全義務の対象が、2006年(平成18年)4月以降に設置された
施設に限ららえている点に注意したい。
現在、全施設に対して保全義務を課す動きは有る様だが、現時点では、
古くから運営されている施設には、保全義務が無い。
その様な施設への入居を検討する際には、施設が自主的に保全措置を
実行しているかどうかを確認すべきだろう。

◆ 「終の棲家」の契約に当たって、最低限知っておきたい事
倒産の恐れは有料老人ホームだけでは無い。
専門スタッフの援助を受けながら、少人数で共同生活を行う、
「グループホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)の
倒産も増えているのだ。

これ等に付いても、問題は有料老人ホームの場合と殆んど変わらない。
但し、これ等の施設では、施設が倒産し、人手に渡った場合でも、
契約内容によっては、新しい所有者に対しても、居住の権利を主張できる
場合が有る。
契約に当たっては、気を付けるべきだろう。

老人福祉・介護事業の経営見通しが年々厳しくなる中で、これから利用者と
なる際には、十分に業者を吟味すると共に、最悪の事態に備え、契約の
内容にも注意しなければならない。

最低限知っておきたいのは、
「居住の権利がどの様に設定されているか」、である。
「賃借権」であれば、借地借家法により、居住中に不動産の所有者が
変わっても、賃借権が優先するとされている。
業者が倒産しても、少なくとも住み続ける事はできるし、相続も可能になる。
具体的には、配偶者や子も住み続ける事ができる点も、
有利な点として挙げられるだろう。

一方、「利用権」の場合は、法的な権利としては弱い。
あくまでも、事業者と利用者の間の契約に基づく権利であり、法律によって
規定されている訳ではない。

一言で言うと、「賃借権」は居住の権利を主張できるが、
「利用権」は居住の権利を主張できない。
実際に、退去が必要になるかどうかは重要なポイントとなる。
慎重に吟味して、老後の生活に備えて頂きたい。

                ≪ MSN ニュース  3月24日より ≫



posted by 弘不動産コンサルティング事務所代表 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月28日

タワーマンション課税の見直し、 誤解されがちな4つの盲点(2)

前日より続く・・・
10を39で除した数値(10÷39)は、約0.256となり、
これが補正率となります。
40階建てのタワーマンションでシミュレーションしてみると、
次の様になります。

【 1階を基準として試算した各階の補正後の数値 】
※補正後の数値は概算値で表しています(小数点第3位以下切り捨て)

* 1階;100 とすると
* 2階;100.25(100+0.256=100.256)
* 3階;100.51(100.256+0.256=100.512)

* 19階;104.61(104.359+0.256=104.615)
* 20階;104.87(104.615+0.256=104.871)
* 21階;105.12(104.871+0.256=105.127)

* 38階;109.48(109.231+0.256=109.487)
* 39階;109.74(109.487+0.256=109.743)
* 40階;110.00(109.744+0.256=109.999)
  (10÷39×39=10、よって40階は110となる。)

例えば、1階住戸の固定資産税(年額)をちょうど10万円とすると、
20階は10万4870円、40階は11万円になります。
担税力に応じて課税負担を調整する必要が有ると言う理由から、
上階程、課税負担を強化しようと言うのです。
今国会での可決・成立は間違いないでしょうから、階数差が40階の場合、
固定資産税の税額は1階と比べて約10%の差が生じる計算になります。

◆ これまで通り、相続税対策としての有効性は変わらない
税制改正大綱の大枠が理解できた所で、ここからは誤解され勝ちな盲点に
付いて、独自の解説を加えたいと思います。

2017年度大綱の改正は「固定資産税」の計算方法に関する見直しに過ぎず、
「固定資産税評価額」そのものの見直しではありません。
そのため、固定資産税評価額を計算の基礎とする「相続税評価額」も変わる
事は無く、これまで通り、タワーマンションには相続税対策としての有効性が
確保されます。
この点、誤解の無い様、注意して下さい。

次に、固定資産税の見直しに当たり、タワーマンション1棟の課税総額自体は
変えないため、高層階は「増税」になる一方、低層階は「減税」になります。
上記のシミュレーションにより、階数差が40階の場合、
固定資産税額は約10%の差が生じる事が判明しました。
中間の20階を100とすると、階数ベースで、1階は約95、40階は約105、
となります。
つまり、40階は約5%の増税、1階は約5%の減税になる計算です。

因みに、大綱には、「天井の高さ、付帯設備の程度等に付いて著しい差違が
有る場合には、その差違に応じた補正を行う」、とも記載されています。
最上階のペントハウスを想定しているのでしょう。
該当する場合は、5%以上の増税を覚悟する必要が有りそうです。

今回の見直しは2018年度から新たに課税されることとなる新築の
タワーマンションが対象となります。
今年(2017年)4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く、
とされており、「階数差」による税負担の不公平感が解消される一方、
新たに「竣工年数」による税負担の不公平が生じます。

尚、2017年度税制改正大綱には「敷地部分」に関する固定資産税の
見直しに付いて、具体的な表現が見当たりません。
「居住用高層建築物にかかる固定資産税額を・・・」、としか記載が無く、
その敷地に掛かる固定資産税額も見直されるのかどうか不明です。
ご存じ、固定資産税は「建物」と「土地」の両方に課税されます。
タワーマンションの敷地部分がどう取り扱われるのか、
具体的な説明が待ち望まれます。

参考サイト(平成29年度税制改正の大綱)
   
          ≪ ヤフージャパン不動産 3月24日より ≫



posted by 弘不動産コンサルティング事務所代表 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする